名古屋支社ライターのナカハラです。
こんにちは。
以前、コーポーレートブログで「ふつうにおいしい」という表現を使いました(ヤクルト1000の感想)。
この「ふつうに+形容詞」という言い回し、かつては若者言葉と扱われていましたが、令和の世ではすっかり定着したような感覚もあります。
これに対する否定的な意見としてよく挙げられていたのが
『「ふつう」ってなんだよ。「おいしい」んじゃないのか』というツッコミ。
ごもっともですが、日常使いしていた身としては、ニュアンスが伝わらないことに少し驚きも感じるわけです。
せっかくなのでこの「ふつうに」について、すでに若者でもない私が、どのような感覚で使用しているか改めて整理してみようと思います。
若者言葉としての「ふつうに」の用法は、いくつかのケースに分類されます。
〈ふつうに+おいしい〉の用例でみていきましょう。
【ケース1】
「まずいのではないか」と身構えていたが、食べてみたらそんなことはなく、むしろ「おいしい」に分類されるというケース。
例)
「昨日料理したときに塩と砂糖を間違えたんだけど、ふつうにおいしかった」
この「まずいのではないか」という印象が相手からの目線のパターンもあるでしょう。
例)
A「カエルなんて食べられるの?」
B「鶏肉みたいでふつうにおいしいよ」
この用法は「意外に」と言い換えられると思います。
【ケース2】
・印象の変化を強調するケース。
例)
「前はこのチキン微妙だったけど、リニュアールしてからはふつうにおいしい」
【ケース3】
・決してまずくはなく「おいしい」に分類されるが、特筆するほどでもないというケース。
例)
A「うわーその期間限定スイーツ、めっちゃおいしいそう!」
B「まあ、ふつうにおいしいよ。でもそこまでではない」
ケース2、ケース3を言い換えるなら「わりと」になるでしょうか。
【ケース4】
・自分の感覚が一般的な範囲から逸脱していないことを強調するときに使うパターン
例)
A「いろんなラーメン屋を巡っているBからしたら、カップ麺なんておいしくないよね」
B「いや、ふつうにおいしいけど」
こちらは「別に」と言い換えられそうですね。
こんなところでしょうか。
いずれの場合でも「絶賛するほどおいしい」場合には使いません。真ん中からややおいしいの範囲内に収まるかと思います。
もし、すごくおいしいと感じている場合は「めっちゃおいしい」、少々下品な言い方なら「クソうめェ」と言うことでしょう。
ちなみに「おいしい」場合には使わない用法かと思われますが、〈当然〉のニュアンスで使用されることもありますね。
例)「昆虫食とか、ふつうに無理!」
この用法が一番若者らしさを感じますが、そのぶん使う人はそれほど多くない印象です。
また本記事タイトルの「ふつうに」は、「順当に」のニュアンスとなりそうです。
今年の10月は夏のように暑かったですが、11月に入ってからは秋らしい気候に変わっていいますからね。
この記事で言えば、ケース2の用法が近いでしょうか。
分類が適切でなかったり、見落としている用法もあったりしそうですが、ぱっと思いついたものを並べてみました。
ライターという職業柄、正しい日本語の規則を理解しつつも、新しい言葉もふつうに取り入れてゆきたいものですね。